親元に帰らない子、そして財産は都会へ都会へと流れる

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■地方の財産が都会へ

多くの若者が、地方から都会へ就学や就職のために移動する時期になってきました。都会に来た若者は、以前であれば、地元に帰って就職したり、結婚を機に故郷に戻ることもあったでしょう。

しかし、今では故郷に帰っても就職先を見つけるのに苦労する状況ですから、いったん都会に出てしまうと故郷に戻る人はかなり少ないのではないでしょうか。

そんな中、働き盛りの現役世代の親たちが高齢化を迎え、子どもたちが最期を看取ることになった時、「子どもたちは都会、実家は地方」という現実が、いろいろな問題を引き起こします。

まず、実家の両親のいずれかでも他界すると、必ず残された財産の整理と引き継ぎが必要になってきます。

仮に、都会に住む子どもが、親の残した財産を引き継ぐとなると、当然その財産の所有権は都会に住む子どものものになるため、地方にある不動産のような財産の所有者が地方にいなくなるという状況になります。

つまり、人の都会への集中は、富の都会への集中ということに繋がっていき、地方経済はますます地盤沈下していかざるを得ないこととなるのです。

あるいは、実家の不動産が売却されれば、その代金は都会の子どもたちに移動し、預貯金として都会の金融機関に蓄えられることになり、結局、地方の経済の活性化には使われることは少なくなるというのが現実なのです。

しかし、そのような現実があったとしても、できるだけ親が残した資産が地元で消費されるか、地元の郵便局に貯蓄される道を探るのかが地元の責任でもあるのです。

■支援を待っているお客様

親や祖父母が亡くなった時、葬儀や埋葬の手配はスムーズに進んでも、それらを執り行う資金を亡くなった方の預貯金から引き出そうとしても、不可能な場合があります。

預貯金の名義人が死亡した時、預貯金の帰属は相続人全員の同意がなくては決められません。したがって、金融機関も最低限の葬儀費用程度は出金させてくれても、遺族が面倒な手続きを行わなければなりません。

預貯金に限らず、相続を受ける人が、亡くなった人の権利を引き継ぐためには、まず自分が正式に相続を受ける人間であることを証明する必要があります。そのためには、戸籍を遡って、亡くなった人との関係を証明しなければなりません。

また、相続は相続の権利を持つ人全員が同意しなければ、亡くなった人の財産を特定の人に分配することはできません。そこで、その権利を持つ人全員の同意を得るための手続きとして、財産の分割協議書を作成する必要があります。

ところが、実際にこの手続きを進めると、相続の権利を持つ人が海外に赴任していたり、行方知れずになっていたりなど、想定外の事態が起こることは稀なことではありません。

そんなとき、経験のない人が膨大な時間と労力を使って右往左往することのないよう、専門家が少しでもお手伝いすることは可能なはずです。

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