兄弟に相続権があるなんて

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相続が発生したとしても、配偶者と子供だけが相続人という典型的なケースばかりであるとは限りません。被相続人が生涯独身であったり、結婚はしていても、子供がいなかったりと、人それぞれの人生が相続に反映します。

わが国の民法では、法定相続分という制度が定められています。被相続人が遺言書で財産の配分について意思を表示しなかった場合には、この法定相続分により相続人への財産の配分が決められます。

■財産の分け方は決まっている

相続人が配偶者と子供だけという典型的な場合の相続分は、妻が2分の1、子が2分の1となります。そして、子が2名以上いる場合には、この相続分である2分の1を子の数で分けることになります。

たとえば、子が2名いれば、子供一人あたり4分の1ずつとなり、3名であれば6分の1ずつとなるのです。また、配偶者がすでに他界している場合には、子だけが相続することになり、子の人数で配分することになります。

少し複雑になるのが、夫婦に子がいない場合です。子がいる場合には配偶者の相続分が2分の1となるのは当然として、子がいない場合には、被相続人の両親が健在な場合には、配偶者の相続分が3分の2、被相続人の両親が他界していて兄弟姉妹がいる場合には、4分の3と変化します。

夫婦に子がいない場合のポイントは、配偶者が財産の全てを相続するわけではないことで、相続手続で難しい問題が生じることとなります。

それは、夫婦に子がいないため、被相続人の兄弟姉妹が相続権を有する場合です。夫婦で築き上げた財産の4分の1について兄弟姉妹が相続の権利を持つということに、配偶者は素直に納得出来るものではありません。

現代では少なくなりましたが、兄弟等の相続人が十数人登場するケースも稀にはあります。こうなると、相続手続きも簡単には進みません。全員から印鑑証明をもらうだけでも大変な苦労をすることも珍しくはありません。

お初にお目にかかります

兄弟姉妹が相続人として登場するケースでも、必ずしも全員が存命であるとは限りません。兄弟姉妹の中に他界している人がいる場合もあるのです。

そうなると、民法では、相続権のあった者の子が親に代わって相続権を持つということになっています。

これを代襲相続というのですが、被相続人の配偶者からすれば、彼らは甥姪となるため、これまで殆ど交際していないこともあります。

相続手続きのために、初めて甥や姪と対面して、大切な財産を配分するということは、恐らく配偶者にとっては心穏やかではないはずです。

しかし、民法はなぜかこのような制度になっているため、被相続人は生前のうちに手当をしておくべきなのです。

その手当とは、子がいない相続の場合には、必ず遺言書で意思表示をしておくことです。子がいない被相続人の意思は、普通は配偶者に全ての財産を残したいということでしょうから、遺言書にはっきりと明記するべきなのです。

被相続人の兄弟には遺言書に記載された内容を覆す権利がないため、必ず遺言書を残すべきなのです。

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